エアコンのカタログに載っている運転音のデータ。古い機種の数字と見くらべて、「最近のほうがうるさい」と感じたことはありませんか。
その比較は成り立ちません。2013年に、測定のしかたそのものが変わっているためです。
メーカー自身がカタログで説明しています。そのまま引用しながら整理します。
結論:2013年に測定方法が変わった
家庭用エアコンの運転音は、2013年の規格改正で測り方が切り替わりました。
従来 音圧レベル ある1点で測った値
現在 音響パワーレベル 周囲に出る音のエネルギー全体を評価した値
評価する範囲が広がったので、同じ製品でも数字は大きく出ます。
静かさが落ちたわけではありません。 ものさしが変わっただけです。
メーカーの説明をそのまま引用する
日立のカタログには、独立した説明の囲みが設けられています。全文を引用します。
家庭用エアコンは、2013年のJIS改正で運転音の測定方法が変わりました。従来の「音圧レベル」(騒音レベル)は、JISで定めたある1点で測定したものでしたが、今回採用された「音響パワーレベル」は、周囲に発する全ての音響エネルギーを評価したものです。国際的な評価方法の統一を図るため、他の家電製品に先駆けて表示を開始しました。製品の運転音が大きくなったわけではありません。 詳しくは、(一社)日本冷凍空調工業会のホームページをご参照ください。
出典:日立 白くまくん カタログ(2026年モデル)。2026年9月20日に編集部で確認。
「製品の運転音が大きくなったわけではありません」と、メーカー自身が書いています。
わざわざ囲みを立てて説明しているのは、数字だけを見た人が誤解するからでしょう。
「試験室での測定値」という但し書き
同じ囲みに、もう1行あります。
※試験室での測定値ですので、実際に据え付けた状態での運転音は周囲環境により異なります。
カタログの数字は、条件を揃えた部屋で測ったものです。自分の部屋で同じ音量になるとは限りません。
部屋の広さ、家具の量、壁の材質、室外機を置く場所。どれも音の聞こえ方を変えます。
編集部としては、この数字は機種どうしを比べるためのものと考えています。 絶対的な静かさを保証する値ではありません。
だから、比べられないもの
整理します。
| 比べられるか | |
|---|---|
| 現行のエアコンどうし | 比べられる(どのメーカーも同じ測り方) |
| 2013年より前の数値と | 比べられない(測り方が違う) |
| 古い記事やレビューの数値と | いつの数値か分からないなら比べない |
★ 中古のエアコンを検討するときは注意してください。 古い機種のカタログ値は、現行機種と同じ土俵にありません。
★ 他の家電の運転音と比べるのも避けたほうが無難です。引用にあるとおり、エアコンは表示の切り替えが先行したとされています。
では何を見ればいいか
運転音は、同じ世代のエアコンの中で比べるのが基本です。
そのうえで、カタログを見るときの順番を挙げておきます。
- 室内機と室外機、両方の数値を見る。 仕様表には別々に載っています
- 強運転時と静音時、両方を見る。 静かさを求めるなら静音時の数値が効いてきます
- 集合住宅なら室外機の数値を重く見る。 隣家に近い位置に置くことが多いためです
数値そのものより、どの条件での数字かを確かめるほうが大事です。
★ 畳数のめやすにも、同じことが言えます(→エアコンの「6畳用」は、暖房だと6畳用ではありません)。
★ 期間消費電力量も同じです(→同じ「6畳用」エアコンで、電気代が年4,500円違います)。
よくある質問
Q. 昔のエアコンより数字が大きいのですが、買い替えると うるさくなりますか?
A. 数字だけでは判断できません。2013年より前のカタログ値とは測り方が違うためです。同じ世代の機種どうしで比べてください。
Q. dBの数値が小さいほど静かですか?
A. 同じ測り方どうしなら、そのとおりです。ただし試験室での値なので、実際の聞こえ方は設置環境で変わります。
Q. 音響パワーレベルについて、もっと詳しく知りたいのですが
A. 日立のカタログは、日本冷凍空調工業会のサイトを参照先として案内しています。規格そのものの解説は、そちらが一次情報になります。
まとめ
- 2013年のJIS改正で、運転音は音圧レベルから音響パワーレベルに変わった
- 評価する範囲が広がったため、同じ製品でも数字は大きく出る
- メーカー自身が「製品の運転音が大きくなったわけではありません」と明記している
- カタログ値は試験室での測定値。設置環境で聞こえ方は変わる
- 比べるなら同じ世代のエアコンどうし
カタログの数字は、条件を揃えて測ったものです。その条件が同じかどうかを先に確かめてください。